どうもこんにちはこへうです。
プロゲーマーをしていましたが令和元年司法試験に合格しました。プロゲーマー弁護士になります。
無職だったのは、司法試験を受験していたからでした。
司法試験の制度のため無職になってしまい「なんでやーッ」という気分です。
色々考えて、結果が出るまで言いませんでした。すいません。
現状報告。時系列順
あまり詳しく言っていませんでしたが、時系列順にまとめるとこうです。
最近の時系列
2017年4月 東京大学法科大学院入学
2018年3月 DeToNator所属
2018年8月 EVO(世界大会)優勝
2019年3月 東京大学法科大学院卒業
2019年5月 司法試験受験
2019年9月 司法試験合格←今ココ
東京大学法科大学院
2017年4月に東京大学法科大学院に入学しました。2年で卒業して2019年5月に司法試験を受けるコースでした(既習コース)。本来はこの間に司法試験の勉強をしまくって、余裕をもって司法試験に臨む予定だったのです…
プロゲーマー
すべてが変わったのが2017年6月です。「ARMS」が発売されました。
私はこのゲームにドハマりします。2018年3月にDeToNatorからお声をかけていただき、プロゲーマーとして所属させていただくことになりました。この間にEVO(世界大会)で優勝させていただいたり、様々なイベントに出させていただいたり、本当に貴重な経験になりました。
詳しくは以下の記事で。
司法試験
2018年12月までプレイヤーとして大会に出させていただきました。 司法試験は2019年5月です。
ゲームをしつつ法科大学院の課題や試験を乗り切り、なんとか卒業できました。卒業後2か月で司法試験です。ゲームを休んでからたった5か月。今考えるとかなり無謀でした。
無職
法科大学院卒業後に司法試験受験です。つまり学校を卒業して無職の状態で受験です。
司法試験があるので卒業後も就職できず、長期の就業もできませんでした。私が大学院卒業後無職になったのはこういう理由です。
2019年3月以降は無職。5月に司法試験受験。その後は合格発表(9月)までやることなし。不合格だったら「もう1年がんばれ」という流れです。けっこう理不尽だと思います。
決意と覚悟
ゲームにハマる
「プロゲーマーになろう」だなんて考えていませんでした。ただただゲームが好きだった。とにかく勝ちたかった。自分が闘ってみんなが盛り上がってくれると嬉しかった。それだけです。
ゲームにハマるという経験はこれまで何度もしてきました。しかしこんなにハマって、しかも外の交流にも積極的になったのは初めてです。
あまり気負わずに、とにかく好きなことをとことん楽しむという姿勢を、ゲームが思い出させてくれました。
好きなことに全力を尽くす
東大に入学した後の自分はゾンビみたいになっていました。何がしたいかよくわからない。将来の目標とかも、あるにはあるけれど本当にしたいことなのかわからない。公務員試験も受かったけれど、本当に公務員の仕事をやりたいかと言われるとそうでもない。
大学受験までのことはこちら
それで一応弁護士になるという目標を立てましたが、いまいちピンときませんでした。正直言って、お金を稼げる仕事だったらいいな、という程度です。
しかしゲームにハマってから気持ちが変わります。
このゲーム面白い。好きだ。勝ちたい。他の人ともっと楽しみたい。だから全力を尽くす。やれるだけやる。
ずっとやってみたかったけど恥ずかしかったりお金がなかったりして手を出せなかったゲーム実況にも挑戦してみて、試行錯誤しました。
とにかく好きなことに全力を出してみたのです。それがお金になるとかならないとか、そういうことは度外視して、とにかくやってみました。
そしたら、「ああ、これやってると生きてる感じするな」となりました。好きなことをつきつめる生き方ができたら楽しいだろうなと。
様々な出会いも私の考え方を変えてくれました。プロゲーマーの方とか、ストリーマーの方とか、Youtuberの方とか、好きなことを仕事にしている人たちに出会いました。彼らは好きなことをして、それで価値を出して、生活しています。
私も、弁護士なら自分の好きな法律を使って、価値を生み出して生活できると思いました。ゲームの業界を、法律知識を使ってお手伝いしたい。他のことも自分の知識や知恵を使って手助けしたい。それで価値を出して自由に生活できたらとても楽しいだろうなと考えました。
好きなことをするのと楽をするのは違う
「好きなことで生きていく」というキャッチフレーズは魅力的です。しかしそれは「楽をして生きていく」ということではないと思います。
確かにゲームをやって楽にお金を稼げたら理想的です。しかし現実は、様々な困難に直面し、辛い思いをして、それでもその場に立っていなければなりません。
私が出会った人たちも、色々しんどそうなことがありました。それでもやりたいから続ける、という姿勢を見て、自分もこうありたいなと思いました。
大学生の頃の私はとても甘えていました。ちょっと楽をしようとしていました。しかしDeToNatorに所属してから様々な困難に直面しました。なかなか勝てないし、チームを引っ張らなきゃいけないし、それでも自分のプレイを磨かなきゃいけないし、しかもその間に司法試験の勉強をしなきゃいけないし、という感じでした。
それでも続けられたのはひとえにゲームをするのが好きだったからだし、勝ちたかったからです。意地もありました。なんとかして結果を出して、成長しようと考えていました。
そういうことを教えてくれたのはゲームとDeToNatorでした。あれやれとかこれやれとか指示されたわけではないです。自分の頭で考えさせてくれました。
「好きなこと=楽なことではない」。これが染みついたおかげで、司法試験に向かう覚悟ができました。
結果を出す
「結果がすべて」。この言葉が正しいのか正しくないのか、私にはよくわかりません。
しかし、プロゲーマーの世界では「結果が最低限の条件」と言えます。その過程でプレイヤーがどれだけ努力していようと、2位は2位。優勝は優勝です。そして結果を出すことはプロゲーマーとして最低限のことでもあります。その上で自分の価値を出していかなければなりません。
そうすると中途半端なことはできなくなります。「結果を出す」これが最低限の条件。それならば、結果を出すために徹底的にやらなければならないのです。
私はプロゲーマーをやっていてこれを厳しく実感しました。「結果を出す」。そうしないと生き残れないのです。
この覚悟ができたから、私は司法試験に対して真面目に向き合えました。結果を出そう、合格しようと思えました。失敗が怖くても、結果を出さなければならない。論文を書いていて「なんでこんなに書けないんだ…」となったことは10回20回じゃありません。それでも頑張れたのは「それでも絶対に結果を出す」と決意できていたからだと思います。
一点集中
両立できるほど器用じゃない
私は複数のことを両立できるほど器用ではありません。「両方とも全力」ということはなかなか難しいです。
そこで私は「一点集中」することにしました。ゲームに集中する期間はゲーム、勉強に集中する期間は勉強、という感じです。他のことは力を維持できる程度に抑えます。
2018年12月まではゲーム、2019年5月までは勉強、という集中の仕方をしていました。
ブレない
やると決めたらやる。その期間は決めたことに集中しました。
もしも集中すべき期間に、他に気を取られるようならそれを物理的に手放します。
私は勉強に集中すると決めてから、本当に必要な時以外スマホを持ち歩かないようにしました。どうしてもSNS等をチェックしたり、動画を観たりしてしまっていたからです。
「連絡どうするの」と言われそうですが、その期間は連絡が来ても「事情があって夜と朝しか返事できません」と返していました。いろいろ理由をつけてサボってしまうぐらいなら、バッサリ切り捨ててしまいました。そのとき人生で最も優先すべきは司法試験の勉強だったので、仕方ないと考えていました。
言い訳をしないように、ブレないようにしました。「自分を追い込む」。やりすぎると精神を病むので手加減が必要ですが、本当にヤバくなるまではがんばろうと決めていました。意外と大丈夫でした。
最後まであきらめない
たとえダメだとしても、やれるとこまでやろう
がんばった結果は誰にもわかりません。勝てるかもしれないし、負けるかもしれない。合格するかもしれないし、不合格かもしれない。結果がわからないから怖いのだと思います。
それでもなんとか踏ん張って、やれるとこまでやろう、そういう気持ちで司法試験に臨みました。諦めずにがんばれたのは、ゲームの大会に出ていたおかげです。ゲームだって最後の瞬間までどうなるかわかりません。それを繰り返すうちに、怖くても突き進む勇気ができていました。
「努力したのに失敗」は無駄か
「努力したのに失敗」した経験は無駄じゃないと思います。努力して努力して、その過程で得られるものはいろいろあります。失敗しても、次があります。それは同じことかもしれないし、違うことかもしれないです。
努力して考えて考えつくして、それでもダメだった。そうだとしても、その過程で「がんばった」という事実、「その過程で得た力」は他のことにも活きます。
努力せずに、がんばらずにいると、あまり身につくものはありません。それより、自分なりに頑張ってみて、失敗したとしても何かを得ようとする方が何倍も価値があると思います。
追記。ちと恥ずかしいですが合格発表1時間前の気持ちメモ
合格発表1時間前 2019.09.10.14:53
発表前の気持ちは今しか表現できないだろうから、今のうちに書き残す。新宿で時間を潰してる。
試験を受けたのは4ヶ月前。もうだいぶ前の記憶だけれど、とにかくしんどかったのが頭にこびりついてる。今でも直前期を思い出すと脳がヒリヒリして、身体が熱を持つ。
受かってるか受かってないか、五分五分だと思う。1回目の模試はD判定。めちゃくちゃ勉強して受けた2回目の模試はA判定。
5日間にわたる試験。ほとんど眠れず途中で体調を崩した。睡眠導入剤が仇となって日中眠いまま受けた3日目刑事系。かなり混乱したまま論述した。
それでもやりきった。やりきった。
外では言わなかったけどとてもしんどかった。試験前も試験中も。
試験後も無職。司法試験の制度上仕方がない。金がない。仕事がない。それでも短期のバイトをしながら4ヶ月、なんとか生き延びた。
色々やった。金がなくて好きなことばかりはできなかったけど、それでも助けられながらなんとか生活できた。
単発のバイトで理不尽に怒鳴られたこともあった。道端に座って15時間、道行く人の数を数えた。きつかった。悔しかった。
それでも踏ん張った。踏ん張って踏ん張ってようやく合格発表の日を迎えた。生きて迎えられた。
受かってても受かってなくても、とにかくここまでやりきった。やりきった。なんとかなった。本当に良かった。
めちゃくちゃ不安で仕方ないけど、どちらにせよ受け入れよう。次に進もう。
よくがんばった。
失敗しても
私は大学受験に1度失敗しています。現役で東大文一に不合格でした。それで別の大学で仮面浪人をして、東大文一に入りました。
仮面浪人中、バンドサークルに入りました。マキシマム ザ ホルモンのコピーバンドを組んで、ほぼ毎月ライブをしていました。とても居心地のいい仲間たちと全力でバンドをできました。そのサークルの友達とは今でも仲がいいです。とても楽しい生活でした。仲良くしてくれたみんなに本当に感謝しています。
もし失敗して、思っていたのとは別の道に行ってしまったとしても、そちらの方が楽しいかもしれません。自分の捉え方次第です。その失敗は失敗じゃないかもしれない、むしろ良い方だったのかもしれない。あの時現役で東大に進学していたら、彼らとは出会えませんでした。現役で東大に行っていたら、プロゲーマーになる機会なんてありませんでした。
失敗といっても、ちょっと人生の分岐が変わるだけなのかもしれません。何が正解かわからないです。今与えられた環境を楽しむというスタンスを身に着けました。
(司法試験前、勉強がつらすぎて「ああ、あの大学に残っていたらゆるめの会社員とか公務員とかになってゆるく生活できたのかもしれないな…」と何度も思いました…何が正解かわからない…)
これから
弁護士になる
弁護士になります。ありがたいことに都内の法律事務所に内定をいただきました。今年の12月から司法修習が始まり、その後1年研修を受けてから弁護士登録、という流れになります。
eスポーツ関連の法務もやりたい
eスポーツ関連の法務をやりたいです。とはいえまだまだ法律の仕事が成立するか未知数の業界なので、弁護士として産業を大きくする手助けができたらいいなあ、という段階です。
まずはちゃんと稼げる弁護士になれるように修行します。
あと2か月無職
前述のとおり司法修習が始まるのは12月です。つまり…
あと2か月無職
弁護士になってしまうと仕事が忙しいので、その前に与えられた自由時間を存分に楽しみます。
色々な方にお会いしてお話しできたらいいな、と思っております。
東京ゲームショウ2019には行くので、そのときお会いできる方はお会いいたしましょう!
最後に
応援してくださったすべての方々に感謝いたします。とてもここに書ききれないです。
ゲームの面でも、勉強の面でも、あらゆる面で応援してくださった方々に感謝いたします。ありがとうございます。
終わってみると、「これが最高のタイミング」といえる年に合格できたのかもしれないな、と思います。色々な条件が出そろっていました。
ようやくスタートライン一歩手前に立てたという気持ちです。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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